東海バネ工業株式会社
i-mc Spring series

すぐれた長寿命性能
皿ばねを従来の縦型疲労試験機(サーボパルサー)で評価した場合は、ほとんどが計画回数まで折損しません。しかし、皿ばねを実際のマシニングセンタ主軸に使用した場合、計画回数に達する前に折損する事(表1試験方式の違いによる耐久性比較)があります。これは試験時の機構や動作と、実機主軸内の機構や動作の違い等がその原因となります。
そこで当社では、実機のマシニングセンタ主軸を想定した専用疲労試験機を開発・導入し、折損のプロセス解明や長寿命化に必要な3大要素技術の追求によって、マシニングセンタ主軸用皿ばねの長寿命化を実現させました。
マシニングセンタ主軸専用疲労試験機
マシニングセンタ主軸専用疲労試験機
すぐれた長寿命性能


表1:試験方式の違いによるMCサラバネの耐久性比較
項 目 試 験 1 試 験 2
試験機 従来疲労試験機 専用疲労試験機
振幅方向 縦型 横型
推定寿命 約200万回 (JIS B 2706による推定)
折損確認回数 300万 140万
皿ばね 形状 MCシリーズ MCシリーズ
寸法 2.5t×40D×20.4d×3.45H 2t×40D×20.4d×3.1H
組合せ 2×38 3×42
応力振幅 737〜1060 MPa 837〜1103 MPa
表面処理 パーコリューブライト
潤滑 エピノックグリースAP2
軸表面処理 浸炭処理後 研磨


長寿命化に必要な3大要素技術
マシニングセンタ主軸用皿ばねの長寿命化には、『摺動』と『摩擦・磨耗』及び『フレッティング』の3つの要素に対応できる技術が必要です。当社ではそれら技術の研究開発によって、その一つ一つをクリアしてきました。 長寿命化に必要な3大要素技術


1. 摺動対応
従来形状の皿ばねは、軸との摺動が内径下面のエッジで行われます。この位置は最大応力が発生する部分で、摺動が行われると折損しやすくなります。
これに対してi-MC Spring seriesの内径は、滑らかな曲面形状をしており、さらに摺動位置が板厚の中心部付近となる特殊形状を採用しております。この形状により、最大応力部での摺動が無くなり、長寿命化が可能となりました。
慴動対応


2. 摩擦・磨耗対応
パーカーの剥離
摩擦・磨耗対策としてのグリース使用は一般的ですが、グリースは使用期間が長くなるほど劣化が進み、それにより皿ばね同士や皿ばね内径と主軸ドローバーの接触面の摩擦や磨耗が大きくなり、その結果、金属磨耗粉の混入などにより、さらにグリースの劣化が進んでしまいます。これは定期的なグリース交換で、常にフレッシュな状態を維持出来れば未然に防ぐことができますが、工作機械主軸内部の分解は困難であり、定期的なグリース交換は現実的ではありません。そこで当社では、これらのグリース劣化と磨耗対策として、主軸用皿ばねに最適な固体潤滑「T-Coat」(表2)を開発し、i-MC Springβに標準採用いたしました。

表2:T-coat性能
潤滑剤 フッ素樹脂
結合剤 耐熱性高分子
色調 茶褐色
塩水噴霧 500時間以上 (JIS Z 2371)
摩擦係数 0.06〜0.08 (代表値)
鉛筆硬度 5H
密着試験 合格 100/100碁盤目テスト (JIS K 5400)
屈曲試験 合格 3mm (JIS K 5400)
表3:T-Coatとパーカーの疲労特性評価
項 目 試 験 3 試 験 4
皿ばね 形状 i-MC Spring i-MC Springβ
寸法 2t×40D×20.4d×3.1H
組合せ 3×6
応力振幅,MPa 661〜1066
表面処理 パーカー T-Coat
潤滑 エピノックグリースAP2
推定寿命 約150万回(JIS B 2706による推定)
試験機 サーボパルサー
振幅方向 縦型
磨耗確認回数 200万 400万
表3と写真はそのT-Coatの疲労特性評価を表します。標準的な表面処理のパーコリューブライト(以下、パーカー)は、200万回時には磨耗が発生し、金属表面が露出しております。これに対してT-Coatは、400万回終了後も表面の磨耗はほとんど発生しておりません。これらの結果からT-Coatが、金属磨耗の発生を防ぎ、グリース劣化を抑えることに非常に有効であり、皿ばねの長寿命化に効果を発揮する事がわかります。


3. フレッティング対応
500万回を超えるようなATCは、グリース劣化・摩擦・磨耗に対して完璧と思える対策を施しても、接触面が存在する限り、そこには微細とは言え必ず磨耗粉が発生します。その微細な磨耗粉は、フレッティングによる軸表面の劣化を招き、主軸ドローバーと皿ばねとの摺動に悪影響を与えて、皿ばねの寿命を短くします。
当社ではこれらの現象に適切な対策を施すため、ドローバーに磨耗粉の影響を排除できる特殊な加工を施して疲労試験(表4)を行い、その結果、磨耗粉の影響を排除する事が出来れば、当社のi-MC Springは1000万回以上でも折損しない事がわかりました。長期間の金属同士の摺動による、磨耗と磨耗粉の発生を抑える事はかなり難しいですが、その磨耗粉の影響を何らかの方法で除去することで、フレッティングを抑えることが可能であることを意味します。
表4:磨耗粉影響を除去した軸構造での実験
項 目 試 験 5 試 験 6
皿ばね 形状 i-MC Springβ
寸法 2t×40D×20.4d×3.1H
組合せ 3×42
応力振幅,MPa 837〜1103
表面処理 T-Coat
潤滑 エピノックグリースAP2
推定寿命 約200万回
(JIS B 2706による推定)
軸形状 通常 特殊形状
試験機 専用疲労試験機
振幅方向 横型
軸表面 HCrめっき
折損確認回数 500万 1000万(折損なし)
また、フレッティングを防ぐためには潤滑を適切に施すことも有効ですが、高速回転対応を行う場合には、皿ばね内径と主軸ドローバーとのクリアランスが非常に小さくなるため、グリースが存在できるスペースは限られてきます。
そこでこれらの磨耗粉影響の除去と潤滑グリース・スペースの課題を解決する為に、当社は独自のアンチブレーキング技術の開発(特許出願中)で、従来では考えられない長寿命を可能にした「i-MCX Spring」を誕生させる事が出来ました。
i-MCX Spring」は皿ばね内径近傍に、「アンチブレーキング形状(ABX)」を採用し、フレッティングを引き起こす磨耗粉を退避させる空間によって磨耗粉影響を除去して、さらにこの空間に多量のグリースを入れることで、長期にわたる潤滑性能を確保しております。これにより「i-MCX Spring」は、従来比で5倍の長寿命化が可能となりました。


フレッティングによる折損のプロセス 形状


各皿ばねの疲労試験
項 目 i-MC Spring i-MC Springβ i-MCX Spring
皿ばね 寸法 2.0×40.0×20.4×3.1
組合せ 3×36 3×42
応力振幅,MPa 948〜1167 835〜1103
表面処理 パーコリューブライト T-Coat
潤滑 エピノックグリースAP2
推定寿命 JIS 寿命推定 : 200万回
軸径(mm) 20.38
試験機 専用疲労試験機
振幅方向 横 型
軸表面 HCrめっき
試験回数 420万回 700万回 1000万回


疲労試験データ一覧
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