東海バネのばねの活躍事例

東海バネ工業は、建築分野建設分野および免制振装置業界において、長年にわたる納入実績と豊富な経験をもとに、業界特有の要求に応える独自の製造技術を確立しています。特に、大型の制振装置に求められる「長期にわたる性能維持」や「ロングストロークへの対応」、「最小限のメンテナンスで使用可能な高耐久性」といった要件に応えるばねを提供しており、安心と信頼が求められる現場で高く評価されています。

課題・チャレンジ

高さ634mを誇る東京スカイツリー®。その最上部に位置する「ゲイン塔」では、600m超の高層部で風から生じる共振現象である渦励振が大きな課題となっていました。この振動を抑制するために設置されたのが、総重量65tのTMD（チューンドマスダンパー）です。TMDには、「圧縮」と「引張」の両方向に対応できる高性能ばねが求められました。これまでも弊社は高層ビルや煙突向けの制震装置に使用されるばねについて、多数の納入実績を有していましたが、東京スカイツリー®のような世界一の高さを持つ構造物の最上部への設置は前例がなく、従来以上に慎重な設計が必要とされました。

解決・達成方法

TMDの構造上、ばねに軸方向の力をまっすぐ伝えることが困難であり、圧縮時に座屈するリスクが懸念されました。この課題に対し、ばねの巻数を最適に制御することで、斜め方向から力が加わっても座屈しない形状へと設計を見直しました。さらに、綿密な設計検証と図面レビューを繰り返し、ばね特性・耐久性・安全性のすべてを満たす形状を導き出しました。これにより、コンパクトでありながら大きな負荷を支え、高い耐久性を有するばねでTMDの開発を支援することができました！

結果

完成したばねは、圧縮・引張の双方に確実に対応し、TMDが厳しい条件下でも安定して機能するための重要な要素部品になっています。特に、長期間にわたる保守メンテや設置箇所が制限される東京スカイツリー®最上部において、要件を満たすばねの設計力は高く評価されました。この実績は、超高層構造物における振動制御という極めて重要な用途においても、東海バネ工業の設計力と製造技術が十分に通用することを証明するものです。