ご質問有難うございます。
静的な力を受ける皿ばねと仮定して回答いたします。
皿ばねを全圧縮し、それ以上に荷重を負荷した場合に生じる懸念としてはバネのへたりが考えられます。
許容応力の考え方については、破断荷重(引張応力)で評価するのではなく
「JISB2706 皿ばね-第2部:製品仕様及び測定・試験方法」に
静的な力を受けるばねの許容応力は、全たわみの75%まで圧縮したばね高さのときの
最大圧縮応力σⅠ(内径上部角部)の絶対値が(鉄系材料の場合には)2500N/mm2を超えないことが
望ましいと記載があります。
従って、荷重に関しても上記応力を超えないように設定することを推奨します。
次に、皿ばねの直列段数を変化させた時の荷重特性の変化について例を挙げて示します。
板厚1.0×外径φ18×内径φ9.2×高さ1.4mm(規格皿バネA-18)の並列1枚×直列20段
(組合せ自由長28mm)の皿ばねを例に考えます。
供試体の熱膨張前に皿ばねに500N負荷して取り付けたとすると、皿ばね組合せ高さは25.8mm
(タワミ2.2mm)となります。
続いて、供試体の熱膨張により皿ばねが0.5mmたわみ610Nの荷重が負荷され、
その時の皿ばね組合せ高さは25.3mm(タワミ2.7mm)となります。
さらに、直列段数を30段(組合せ自由長42mm)に増やした時を考えます。
その場合、供試体の熱膨張前に500N負荷して取り付けたとすると、皿ばね組合せ高さは38.8mm
(タワミ3.2mm)となります。
続いて、供試体の熱膨張により皿ばねが0.5mmたわみ570Nの荷重が負荷され、
その時の皿ばね組合せ高さは38.3mm(タワミ3.7mm)となります。
このように段数を増やせば、同じタワミ量(0.5mm)を負荷する場合、
荷重が減少=1枚当たりに負荷される荷重・応力が減少します。
1枚当たりに負荷される荷重・応力が減少すれば、皿ばねの推定寿命がより長くなるという利点が
御座います。
しかしながら、過剰な直列段数は皿ばねの組合せ高さが増加し、皿ばねの取りつく装置のサイズアップや、
重量増加に繋がります。
(設計以外の観点では、皿ばね枚数の増加によるコストアップも懸念されます。)
従って、期待する寿命や装置の寸法制約など使用用途に合わせた適切な直列段数に設定することが
望ましいと考えます。
以上、宜しくお願いいたします。