【ご相談内容】 ばね初心者 2021/1/19(火) 8:46
SUS304-CSP-H材を平らな状態で使っています。
弊社の部品で、TA処理(低温焼鈍し)を行っていましたが、曲げなどが無い平らな状態の部品の為、コストダウン目的で、TA処理を検討しています。
大きさは、20×200mm程度の平らなほぼ長方形(抜き加工のみ)部品です。
弊社内には、TA処理廃止したら、変形しやすくなる!と指摘する人がいます。
私が勉強した範囲では、低温焼鈍しでは、加工による応力除去が目的なので、変形しやすくなる事はないと考えています。また、SUS304-CSP-H材では、焼入れによって硬くなることはないと書かれている文献もございました。
TA処理の有無で、平らな部品での変形し易さはどうなるか教えて頂けませんか?
また、関連する数値データがあると頂けると助かります。
よろしくお願い致します。

【返答】 ばねっと君 2021/1/19(火) 9:31
ご質問ありがとうございます。
SUS304-CSP材は、炭素量が少ないため、焼入れによって強度を高めることはできません。
主に実施される熱処理は、低温焼きなましになります。
ご認識のとおり、低温焼きなましは、成形加工後の残留応力の除去が目的で実施されることが
多いです。加えて、圧延により強加工がなされた材料の機械的性質(弾性限、耐力、引張り強さ)の
改善も図ることもできます。
以下に低温焼きなましについてとSUS304-CSP-Hに低温焼きなましをしたことによる機械的
性質の変化に関する文献のリンクをはります。
(低温焼きなましについて)
http://www.jsse-web.jp/kandokoro/kan8.pdf
(SUS304-CSP-Hの低温焼きなましについて)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/trbane/2020/65/2020_7/_pdf
コストとの兼ね合いや寸法変化を嫌う精密なばねでは、低温焼きなましを
しない場合もあります。もちろんそういった製品は、母材の弾性限の範囲内で
設計され、ばねとしての性能が保証されることを検証された上でだとは思います。
よって、ご使用の製品でも使用条件によっては、低温焼きなましをしなくても
性能を満足する可能性はあるかもしれません。
しかし、今までしてきたことをしないというのは勇気のいることかと思います。
実際の部品で低温焼きなましの有無による性能試験をされて、その評価をもとに
判断すれば、誰しも納得できる結果が得られるかと思います。
【返答】 ばね初心者 2021/1/19(火) 9:44
ご回答ありがとうございました。
認識は合っていたようです。アドバイスを参考に致します。
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