ご質問有難うございます。
SUPとSUS304-CSPとの違いについてですが、SUPについては弊社で実績も多いSUP10、SUS304-CSPの調質記号は「H」としてSUP10とSUS304-CSP-Hとの違いについて回答します。
主に板バネ等で使用されるSUP10は、JISG4802にばね用冷間圧延鋼帯としてSUP10-CSPとして規定されています。
SUP10については、焼きなまし材を加工し加工後に熱処理(焼入れ・焼戻し)を実施することが多いです。
SUP10の熱処理実施後の物性値は、硬度:HV412~513ととなった場合、引張強さは換算値で≧1330MPa
となります。
SUS304-CSP-Hの物性値は「JISG4313 ばね用ステンレス鋼帯」に、引張強さ:≧1130MPa、硬度:≧HV370と記載が御座います。
上記物性値の違いから、両材を板バネにした場合にはSUP10の方が強度が高く、より大きく変形させることが可能です。
その他、物性値の違いとして
SUP10はヤング率:206000MPa、SUS304-CSP-Hヤング率:186000MPaであることが挙げられます。
この違いから同じバネ形状で同じタワミを加えた場合には、SUP10の板バネの方が、SUS304-CSP-Hの板バネに比べて1.1倍程度大きい荷重が得ることが出来ます。
耐食性の面では、SUS304-CSP-Hにメッキ処理を行う必要はありません。
一方でSUP10にメッキ処理を行う場合には、水素脆化を防止するためにベーキング処理を行う必要が生じます。
素材の価格の面では、SUS304-CSP-HはSUP10と比較し、より価格が高いものになります。
SUP材で再検討する理由は不明とのことですが、
お客様の想定するコストに合わせて、SUP材を選定されている可能性や
ご質問のプレス加工部品に負荷される荷重、部品の硬度等を考慮した場合にSUS材では不十分であった可能性が考えられます。
以上、宜しくお願いいたします。