【ご相談内容】 ばね初心者 2022/6/14(火) 8:56
ばね定数の測定について教えてください。
ばね定数の測定をほぼ同条件(違うところは後述します。)で A拠点・B拠点の 2拠点間でばね試験機にて行ったところ測定値に差が出ました。
A拠点で生産、測定した値>輸送後B拠点での測定値
一度測定を行ったばねを再び測定しておりますので、へたりが出たかもしれないということで
再度A拠点で測定を行いましたが、測定値は初めにA拠点で測定した値と変りませんでした。
また測定機に問題がある可能性を考慮して、それぞれの拠点の測定機の検出器に問題が無いかも確認しましたが両測定機ともに問題はありませんでした。
2拠点で違う条件
①温度
→過去の質問を拝見したところ温度差はあまり関係ないとのことでしたのですが記載しておきます。
温度は下記です。
A拠点:常温(25℃前後)
B拠点:20°
②検出器の大きさ
→上から押す検出器の大きさが異なります。
A拠点:20mm
B拠点:40mm
このように同じ部材をほぼ同じ条件で測定した時のばね定数に差が出る原因は何が考えられるのでしょうか?
ご教示お願い致します。
【返答】 ばねっと君 2022/6/14(火) 10:21
ご質問いただきありがとうございます。
測定に差が出る要因は、多岐にわたるためご記載の内容だけでは、特定が困難ですので、
考えられる範囲の要因を記載します。
まず、以前はA拠点、B拠点どちらの試験機も同一のばねであれば、同じばね定数を測定していた
ということであれば、その期間から現時点までの試験機に対する変更点を確認願います。
次に、今回が初めてのばね定数測定ということであれば、要因は以下のものが現在考えられます。
・同じメーカーから購入した同じ型の試験機でも試験機の規格を満足する範囲で測定結果に
差は発生します。逆に全く同じ結果を示す試験機を入手するのは容易でないことは、
ご留意ください。校正記録を見れば、その差は分かるかと思います。
・ロードセルは問題ないとのことですが、定格容量(測定可能な最大荷重)の差をご確認下さい。
測定値の分解能の変わるため、結果に影響します。
・変位計の器差をご確認下さい。測定結果に影響します。また、定格容量(測定可能な最大変位量)の
差をご確認下さい。測定値の分解能の変わるため、結果に影響します。
・試験機の機構的な差、動作方式やバックラッシュといったことにより、実際の圧縮量や試験機の
制御に影響します。
・ばねを設置面と圧縮する面の精度をご確認下さい。ばねの圧縮方向や変位量に荷重値に影響します。
・メーカーへの確認が必要ですが、制御ソフトやプログラムに差があるかご確認下さい。荷重や変位の
検出、ばね定数の算出に影響します。
・制御計の設定値に差があるかご確認下さい。動作速度や測定時の停止、自由長の検出に影響します。
・可能性は少ないかと思いますが、ばねの設置位置でも測定結果に差が発生する場合があります。
可能な限り、検出部の延長線上にばねがくるように設置した方がよいです。
・温度差についても、全く影響しないということはないですが、温度差が5℃程度しかなく、
線膨張係数を考慮しても、通常、変位に与える影響は少ないかと思います。かなり微小な荷重や
変位をもとにしてばね定数を測定している場合は、考慮が必要です。
・測定前の作業で、ゼロ点合わせの実施の有無を確認下さい。変位の測定結果に影響します。
最後に、以上の確認や検証には、余裕があれば、試験機の校正に使用される力計や変位計、
ブロックゲージを準備されると基準が明確になり、確認がしやすくなるかと思います。
※ご質問と回答は一般公開されますので特定される内容には十分お気をつけください。