【ご相談内容】 ばね初心者 2020/9/17(木) 13:28
圧縮コイルバネの耐久性について質問があります。
試験機を使用した伸縮の繰り返し試験を行う際、ストローク量によって、バネが破損するまでの耐久性に
影響は出ますか?
例えば、同一バネで80mmストロークさせる場合と90mmストロークさせる場合で耐久性に差が
出るものでしょうか?
宜しくお願い致します。
【返答】 ばねっと君 2020/9/17(木) 13:49
ご質問いただきありがとうございます。
結論から申しますと圧縮コイルばねは、ストローク量の差によって耐久性
は異なります。
下記リンク先のページに、繰り返し荷重を受けるばねの耐久限度線図を
掲載しております。例えば、下限応力係数(最小応力と引張強さの比)は固定とします。
ストロークが変わるということは、上限応力係数(最大応力と引張強さの比)の値が
大きくなったり、小さくなったりします。
あるストロークの際に、各応力係数を計算して限度線図にプロットすると、
1×10^7回の線図の下側にプロットされた場合、推定寿命は、1×10^7回となりますが、
ストロークを増やして、1×10^6回の線図と1×10^7回の線図の間にプロットされた場合は、
推定寿命は、1×10^6回という判断になります。
【返答】 ばね初心者 2020/9/29(火) 11:22
ご回答ありがとうございます。
下記質問について、追加でお願い致します。
同一のばね(生産ロットも同一)を同一の試験条件(使用する試験機、ストローク量)で試験を行った際、
耐久性にバラツキは出るものでしょうか?
例えば、
・一回目は20万回で破断
・二回目は10万回で破断
といった結果が出ることは考えられますでしょうか?
又、そのような結果が出た場合に推定される原因は何か考えられますでしょうか?
試験結果のバラツキがあるものと考えた場合、許容範囲はどの程度見積もれば、宜しいでしょうか?
度々、申し訳ありません。
アドバイス等頂けると助かります。
宜しくお願い致します。
【返答】 ばねっと君 2020/9/29(火) 12:22
ばね初心者さま
ご投稿ありがとうございます。
同一のばね(生産ロットも同一)を同一の試験条件(使用する試験機、ストローク量)で試験を行った際、
耐久性にバラツキは生じます。
バラツキの要因としては様々考えられますが、記載頂いた内容から断定することは困難です。
時間強度線図において、10万回や20万回で評価するためには、細かい応力水準で耐久試験を行い
評価基準を設定する必要がある為、JISの線図上あるいは近傍における精度高い評価は難しく、ばねの
設計応力あるいは応力振幅にもよりますが、材料強度の限界領域なのかあるいは十分な安全があるのか?
安全設計がされており、早期折損ということであれば、介在物や加工不良なども考えられます。
従いまして、試験結果の妥当性については、ばね諸元、耐久試験条件、試験環境など総合的に確認し、
かつ1回目、2回目の折損要因について破面観察など調査を行い、材料強度の限界なのかあるいは
製造不良によるものであるのかを確認し、それを耐久性のバラツキとして評価するか否かの判断をする
必要があります。
断定できるご回答ができず申し訳ありませんが、バラツキの許容範囲について、ばねを使用するうえで
折損に至っては困る領域(繰返し回数)を許容範囲として判断する必要があろうかと存じます。
ご参考になれば幸いです。
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